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動物の血液組成が海水の成分比とよく似ているのも、動物のはじまりが海水の成分を利用することから始まったということをよく物語っています。
ヒトの体を構成している元素にもその名残が見られます。大昔の海水中の元素がうまく利用され、ヒトの体の中に受け継がれているのです。
やがて、動物が進化してゆくと、海水から直接ミネラルを吸収するのではなく、植物を食べることによって間接的にミネラルを摂り入れるようになっていきました。
植物は根を使って土壌からミネラルを吸収し、体内に蓄えます。それらのミネラルを自分自身の細胞の代謝活動に役立てるだけでなく、食べられることによって動物の体内にもミネラルを与えます。
私たちが口にする食物からバランスよくミネラルを摂ることができれば、それに越したことはありません。ところが、偏った食生活に加えて、私たちのまわりの環境の変化が、特に農業の進歩がミネラル不足を生み出す原因を作ってしまっています。
何らかの対応を考えないと、ミネラル不足を解消できないというのが現状なのです。
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薬屋さんでよく「足のつる人」という看板を見かけます。薬屋さんに相談するとカルシウムとマグネシウムが入った錠剤を勧めてくれます。
足がつって困っていた人がこの錠剤を飲むと、数日で足がつらなくなります。
実はマグネシウムは骨の細胞に働きかけて、カルシウムの量を調節しています。マグネシウムが不足すると、骨にカルシウムが行き渡らなくなってしまいます。
さらに体内にマグネシウムが不足すると、骨や歯に蓄積された分から放出されます。同時にマグネシウムの3倍以上のカルシウムも放出されてしまうので、その部分の骨がもろくなってしまいます。骨がもろくなる原因はカルシウム不足といわれていますが、カルシウムだけでなくマグネシウムの不足にも気をつける必要があります。
足がつるという症状に対して、カルシウムとマグネシウムが入った錠剤を飲むと改善されるようになるのは、このふたつのミネラルの相乗作用のためです。
足がつる状態をそのままほうっておくと、血管筋や心筋に影響を与えるようになり、狭心症や心筋梗塞の引き金にもなります。
したがって足がつるといった症状が出た場合は、体全体がミネラル不足になっていると考えて、早めに対応策を考える必要があります。
また、味覚障害が亜鉛不足によって引き起こされることは良く知られています。
急に食べ物の味がわからなくなってしまうというのは、大変なショックです。もちろん、神経性の病気の場合もあるでしょうが、大部分の味覚障害は、亜鉛の錠剤を摂取することで、すぐに治ってしまいます。
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アレルギー疾患もミネラルの欠乏症といえます。たとえばアトピー性皮膚炎や花粉症の患者がたくさん増えています。
こうしたアレルギー疾患は、昔はほとんどいなかったのに、最近になって爆発的に増えてきています。
患者の皆さんは、自分のアレルギー体質を恨み、アレルゲンのダニとか、抗原性の食品のせいにしたり、あるいは花粉のせいにしています。しかし、花粉やダニは二番目の原因であって、本当の要因は、ここでも微量元素ミネラルの欠乏にあるのです。
私は、こうしたアレルギー疾患の患者さんに、バランスの取れたミネラルを摂ってもらうことで、更に超ミネラルという毒性のない代用ミネラルを摂ってもらうことで、きれいに治るという事例をたくさん確認しています。やはり食事がまともで、ミネラルを十分に含んだ食べ物を摂取していなければ、病気からは解放されないということがいえるのです。
またミネラル欠乏症としてよく知られているのが鉄欠乏性貧血です。
赤血球には、ヘモグロビンという物質が含まれています。このヘモグロビンの合成には鉄とビタミンB6が必要ですが、このどちらかが少ないときに起こるのが鉄欠乏性貧血です。そのために代謝がうまくいかなくなったり、免疫力が低下したりします。特に女性に多いのが鉄欠乏性貧血で、生理痛、冷え、さらにはさまざまな婦人病をひき起こします。
ミネラル欠乏による症状だけを述べましたが、ミネラル不足による障害を述べたらそれだけで分厚い本になってしまいます。
数々の生活習慣病をひき起こすミネラル欠乏症は、できるだけ早い段階で発見することが、とても大切だということがおわかりいただけたでしょう。
表2は、こうしたミネラルが不足するとどういう症状が起きるかという一覧表です。
この表にあげられているのは、必須ミネラルとして重要なものが欠乏した場合の障害の一覧ですが、このほかに微量ミネラルの欠乏によるさまざまな障害もあります。
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物質に含まれる元素の量を計るには、以前から原子吸光度測定装置などが使われてきました。しかし、含有量が比較的多いときにしか測定できませんでした。
たとえば海水の水の中のナトリウムを元素の質量として計りたいときなどに使われます。しかし、海水の中のウランの量などを計るとなると難しく、時間もお金もかかります。
ですから、動物、植物に含まれる微量元素の量を計るかどうかは、手間ひまをかけるだけの価値があるかどうかの判断によることになります。先人の科学者たちは、これらの微量元素の量を計ることがさほど重要だとも思わず、今まではあえてしていなかったのです。
微量元素が人体にとって不可欠なものであるという認識がなかったので、これまで軽視されてきたのです。気体、液体、固体での含有量についてのみ、それも問題が発生した時にだけ計測されてきたということです。
しかし、ここにきてやっと転機が訪れました。
誘導結合プラズマ質量分折装置(ICP-ms)という測定器が4年前に市販されるようになったのです。2000万円程度の器械で、アルゴンガス5万円分があれば、すべての元素を、どんな物質の中にあろうと、非常に微量のものでも簡単に、測定できるようになったのです。
人類はこの器械で、新たな科学の道を歩み始めたといっても過言ではありません。今までの原子吸光度測定装置はウソのデータを示していたのです。
地球上には大昔の水もあります。シベリア、南極には、凍結保存された生物、無生物が豊富になります。地中、海中深く探索すれば、元素分析とその正確な量の情報から、貴重な無機物資源が、新たに多数発見されると思われます。
微量ミネラルの計量ができるようになった現在、微量ミネラルの欠乏によってどういった病気が引き起こされるかという研究が、徐々に進んでゆくことが予想されます。
ミネラルの研究は、五大栄養素の中でもっとも遅れていますが、私たちの体の基礎を作っている物質であることから、もっと積極的に研究されていかなければならない分野なのです。病気の研究、即ち代謝の研究は完全にやり直しであると考えられます。
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